クリエイティブ実践ガイド
Stable Diffusionをローカルで始める前に読む全体像|モデル・LoRA・サンプラー・UIをまとめて理解

目次
Stable Diffusionをローカルで始めようとすると、最初から知らない言葉が大量に出てくる。
Checkpoint、LoRA、VAE、サンプラー、Scheduler、CFG、シード、Hires.fix、ControlNet。さらにAUTOMATIC1111、Forge、Forge Neo、ComfyUIと、実行するUIまで複数ある。
この状態で「おすすめ設定」を一つずつ覚えようとすると、すぐに混乱する。
しかし、全部を同じ種類の設定として覚える必要はない。
ローカル画像生成は、役割の違う部品が一つの画面に集まっている。
まず全体を分け、そのあと必要なところだけ深く掘る方が分かりやすい。
図1:画像生成の設定は一列の品質スライダーではない。UI、モデル、追加学習、条件入力、サンプリング、VAE、後処理という別々の場所に作用する。
まず全体を8つに分ける
| 層 | 何を決めるか | 代表例 |
|---|---|---|
| 管理アプリ | UIとモデル資産をどう管理するか | Stability Matrix、単体インストール |
| UI / 実行環境 | どう操作し、ワークフローを組むか | Forge Neo、ComfyUI、AUTOMATIC1111 |
| モデル系列 | どの生成基盤を使うか | SD1.5、SDXL、Stable Diffusion 3.5、FLUX、Qwen-Image |
| モデル・追加学習 | 何を描きやすくするか | Checkpoint、LoRA、Embedding |
| 画像表現 | 潜在表現と画像の変換をどう扱うか | VAE |
| サンプリング | ノイズから画像へどう進むか | サンプラー、Scheduler、ステップ数、シード |
| 条件付け | 指示をどう効かせるか | プロンプト、Negative プロンプト、CFG |
| ワークフロー / 後処理 | 生成後に何をするか | img2img、インペイント、ControlNet、IP-Adapter、アップスケール |
この層を分けるだけで、「LoRAを変えた問題」と「サンプラーを変えた問題」と「VRAM不足」を同じ場所で考えなくて済む。
「Stable Diffusion」はモデル名と広い通称を分けて考える
本来、Stable DiffusionはStability AIが公開してきた画像生成モデル系列の名前だ。
Stability AIの公式モデル一覧では、2026年5月20日更新時点でもStable Diffusion 3.5 Medium、Large、Large Turboなどが画像モデルとして掲載されている。
一方、ローカル画像生成の会話では「Stable Diffusionをやりたい」が、WebUIを使ったローカル画像生成全般の意味で使われることもある。
ここは区別したい。
FLUXやQwen-ImageはStable Diffusionそのものではない。ただし、ComfyUIなど同じローカル画像生成環境から扱えることがある。
モデル系列としてのStable Diffusionと、Stable Diffusionを入口に広がったローカル画像生成環境を分けて扱う。
モデル系列そのものを選ぶなら、Stable Diffusion・SDXL・FLUX・Qwen-Imageはどう選ぶ?から入ると整理しやすい。
最初の分岐は「どう管理して、どのUIで使うか」
画像を生成するモデルと、生成を操作するUIは別物だ。
さらに、UIをどうインストール・更新し、モデル資産をどこへ置くかという管理層も別に考えられる。
2026年に複数UIを試したいなら、Stability Matrixを入口にする方法が実用的だ。
公式対応一覧ではForge NeoとComfyUIの両方が現行パッケージとして掲載され、共有ModelsライブラリからCheckpoint、LoRA、VAEなどを管理できる。
そのため、最初にForge Neoを入れて生成を覚え、あとからComfyUIを追加する構成を作りやすい。
Forge Neo / AUTOMATIC1111系
AUTOMATIC1111系のUIは、プロンプト、Negative プロンプト、サンプラー、ステップ数、CFG、解像度などをフォームへ入力して生成する考え方が中心になる。
Forge Neoもこの操作感を引き継ぐため、最初のtxt2imgまでにノード構成を理解する必要がない。
まず1枚生成したい、CheckpointやLoRAを切り替えながら設定を覚えたいなら、フォーム型WebUIは強い入口になる。
ただしForge NeoはlllyasvielのForgeそのものが名前を変えたものではない。Forgeから派生した継続フォークとして、上流Forgeと区別して扱う必要がある。
ComfyUI
ComfyUIはモデル読み込み、テキストエンコード、潜在表現生成、サンプリング、VAEデコード、保存などをノードとしてつなぐ。
フォームの裏側に隠れている処理をグラフとして表へ出すため、最初は難しく見える。一方、複雑な処理の再利用、分岐、ControlNet、動画生成、自動化へ伸ばしやすい。
ComfyUIから始める場合は、Windows版の導入から最初の1枚を生成する手順へ進めばよい。
UIを比較するときは「どれが一番高画質か」より、フォームですぐ生成したいか、生成処理そのものを組みたいかを見る方が実用的だ。
Checkpoint・LoRA・VAEは同じ種類のファイルではない
.safetensorsという同じ拡張子で配布されていても、役割は同じとは限らない。
簡略化すると、
- Checkpoint:生成の中心になるモデル
- LoRA:ベースモデルへ追加する差分
- VAE:画像と潜在表現の変換に関わる
- Embedding:テキスト側の条件表現へ追加する資産
と分けるとよい。
特に重要なのは互換性だ。
SD1.5向けLoRA、SDXL向けLoRA、別アーキテクチャ向けLoRAは、方式名が同じだからといって自由に入れ替えられるわけではない。
ファイルを追加する前に、配布ページでベースモデルと対象ワークフローを確認する。
この部分はすでにComfyUIのチェックポイント・VAE・LoRAは何が違う?で個別に整理している。
シード・ステップ数・CFG・サンプラーを「画質つまみ」としてまとめない
生成設定も役割が違う。
- シード:ノイズの初期条件に関係する
- ステップ数:デノイズを何段階で進めるか
- CFG:テキスト条件をどの程度強く効かせるかに関係する
- サンプラー:サンプリングで使う数値的方法
- Scheduler:各ステップでノイズ量をどう変えるか
重要なのは、数値を増やせば一方向に品質が上がるわけではないことだ。
Stable Diffusion 3.5 Large Turboのように少ないステップを前提とするモデルもある。別モデルで使っていたステップ数やCFGを、そのまま新しいモデルへコピーして最適値と考えない方がよい。
設定を比べるなら、モデル、プロンプト、解像度、シードなどを固定し、一項目ずつ変える。
ComfyUIではシード・ステップ数・CFG・サンプラーの違いで比較方法までまとめている。
SD1.5・SDXL・SD3.5は単純な上位互換ではない
新しい世代が出たからといって、古い世代の価値がゼロになるわけではない。
SD1.5、SDXL、Stable Diffusion 3.5では、アーキテクチャ、必要な構成要素、使える追加学習資産、得意なワークフローが異なる。
特定のCheckpointやLoRAを使いたいなら、その資産がどのベースモデル向けかがモデル選びを決めることもある。
SDXLではBaseとRefinerを分ける構成があるが、Refinerは必須ではない。SDXL BaseとRefinerの違いで追加する意味を分けて確認できる。
Stable Diffusion 3.5内でもLargeとMediumは同じ配布物の品質設定ではない。Stable Diffusion 3.5 LargeとMediumの選び方では、モデル規模だけで順位付けせず、生成構成やPC条件から選ぶ。
ここでは細部を重複させず、CheckpointやLoRAを入れる前にベースモデルを確認することを最初の基準にする。
VRAMはモデル名だけで必要量を決めない
「Stable Diffusionなら8GB」「SDXLなら12GB」といった固定表だけでGPUを選ぶと危ない。
実際のメモリ使用量は、
- モデルとリビジョン
- 演算精度や量子化
- テキストエンコーダーの置き場所
- VAE
- 解像度
- バッチサイズ
- ControlNetなどの追加処理
- CPUオフロード
- UI / 実行基盤
でも変わる。
Stability AIが示すVRAM値も、何を含む値なのか条件を読む必要がある。
GPU購入の判断は画像生成用GPUのVRAMは8GB・12GB・16GB・24GBで何が変わる?へ分けている。
最初の1枚ができたら、目的別ワークフローへ進む
最初から全部を入れる必要はない。
元画像を残しながら変えたい
一部分だけ直したい
ComfyUIでインペイントする方法で、マスクした範囲だけを編集する考え方を確認する。
ポーズ・輪郭・深度を条件にしたい
ControlNetでポーズ・端末・Depthをどう選ぶ?へ進む。
参照画像の特徴を使いたい
IP-Adapterを使う前に確認することで、参照画像とプロンプトの役割を分ける。
大きくしたい
潜在表現アップスケールと画像アップスケールの違いで、生成途中を拡大するのか、完成画像を拡大するのかを選ぶ。
OOMが出たら「GPUが弱い」で終わらせない
CUDA out of memoryが出ても、即座にGPU買い替えが必要とは限らない。
解像度、バッチ数、追加モデル、演算精度、オフロード、前回ワークフローの残存など、確認する条件は複数ある。
ComfyUIならCUDA out of memoryの切り分けから順番に確認する。
最初の環境は意図的に小さく作る
最初から100個のCheckpointと200個のLoRAを集める必要はない。
最初は次の順番で十分だ。
- Stability Matrixを使うか、単体UIにするか決める
- 最初のUIをForge NeoかComfyUIから一つ選ぶ
- ベースモデルが明確なCheckpointを一つ入れる
- 推奨される基本条件で1枚生成する
- 成功した画像と設定を保存する
- シードを固定してステップ数やCFGを一項目ずつ比較する
- LoRAを一つだけ追加する
- img2img、インペイント、ControlNet、アップスケールへ一つずつ進む
- 必要になったら2つ目のUIを追加する
この順番なら、出力がおかしくなったときに原因を切り分けやすい。
Stable Diffusion系のローカル画像生成は、設定項目が多いから難しいのではない。
別の役割を持つ部品が、一つの生成環境に集まっているから複雑に見える。
まず全体を分ける。
そのあと、自分の用途に必要な専門記事だけを読めばよい。
まとめ
- Stable Diffusion系の画像生成は、管理アプリ、UI、モデル系列、Checkpoint / LoRA / VAE、サンプリング、VRAM、ワークフローを別々に考えると理解しやすい
- Stability MatrixはForge NeoとComfyUIの両方を管理でき、共有モデルライブラリを使ってUIを後から追加しやすい
- 最初のtxt2imgを早く試すならフォーム型のForge Neo、複雑な処理構造・動画・APIへ進むならComfyUIが強い
- Checkpointは生成の土台、LoRAは追加差分、VAEは画像と潜在表現の変換に関わり、同じsafetensorsでも役割は異なる
- ステップ数やCFGを増やせば必ず高画質になるわけではなく、モデルとワークフローを固定して一項目ずつ比較する
参照した情報源を見る(11件)
参照情報源
- Introducing Stable Diffusion 3.5Stability AI情報源を開く ↗
- Stability AI Core ModelsStability AI情報源を開く ↗
- Stable Diffusion text-to-image pipelineHugging Face情報源を開く ↗
- SchedulersHugging Face情報源を開く ↗
- LoRAHugging Face情報源を開く ↗
- Stable Diffusion WebUI Forgelllyasviel / GitHub情報源を開く ↗
- Stable Diffusion WebUI Forge - NeoHaoming02 / GitHub情報源を開く ↗
- Stable Diffusion web UIAUTOMATIC1111 / GitHub情報源を開く ↗
- ComfyUIComfy-Org / GitHub情報源を開く ↗
- Stability Matrix Supported PackagesLykosAI / GitHub情報源を開く ↗
- Stability Matrix OverviewLykosAI / GitHub情報源を開く ↗