AI活用分析
OCRとVision LLMはどちらを使う?文字抽出と画像理解の違い

目次
画像から情報を取り出すとき、OCRとVision LLMは同じ役割ではない。
最初に決めたいのは、画像に書かれた文字を正確に取りたいのか、画像全体の意味を理解して答えてほしいのかだ。
文字をそのまま取り出したいならOCRを先に考える
OCRは、画像に写っている文字を検出し、検索や保存に使える文字列へ変換する用途に向く。
たとえば、
- レシートの文字を取り出す
- スクリーンショットの文章を取得する
- 書類の番号や日付を文字列にする
- RAGや全文検索へ渡すための文章を作る
といった作業だ。
ただし、文字を正しく取り出せたことと、その文書の意味を理解できたことは別である。
画像について質問したいならVision LLMを検討する
Vision LLMは画像と文章を入力し、画像の内容について文章で答えられるモデルだ。
たとえば、
- この画面のどこにエラーが表示されているか
- 図の要素どうしの関係を説明してほしい
- 写真の状態を文章で要約してほしい
- 同じ画像を見ながら追加質問したい
といった用途では、画像理解の役割が大きい。
一方、画像を理解できるモデルだからといって、画像内の全文字をOCRより正確に転記できるとは限らない。日本語、縦書き、小さな文字、細かな表などは実際の画像で確認する。
文字の正確さと画像理解の両方が必要なら併用する
業務文書や画面のスクリーンショットでは、「文字列を正確に取りたい」と「その内容について質問したい」が同時に必要になることがある。
その場合は、OCRで文字を取り出し、その文字列と必要に応じて元画像をVision LLMへ渡す方法が候補になる。
画像
├─ OCR → 抽出した文字列
└─ Vision LLM → 画像内容の理解
必要なら両方を使って判断
こうすると、文字認識の失敗と、画像内容の解釈の失敗を分けて確認しやすい。
JSONやCSVへ出すなら必要項目を先に決める
最終的にJSONやCSVへ整理したい場合も、最初から一つのAI処理だけで全部完成させる必要はない。
たとえば請求書なら、必要な項目を先に決める。
請求書番号:
日付:
会社名:
合計金額:
そのうえで、各項目の元文字列をOCRで取得できたか、画像の配置や意味を理解するためにVision LLMが必要だったかを分ける。
出力形式が整っていても、元画像との照合なしに値の正しさまで保証できるわけではない。
代表画像で文字抽出と理解を別々に評価する
自分の用途に近い画像を数枚用意する。たとえば次の3種類に分けると違いを見やすい。
- 文字が中心の文書
- 表や複数段の配置を含む文書
- 写真や図と文字が混ざった画像
同じ画像を使い、OCRでは元画像と文字がどれだけ一致したか、Vision LLMでは質問へ正しく答えられたか、関係を理解できたかを別に確認する。
日本語、縦書き、手書き、表の性能は、モデル名だけで順位を決めない。自分の代表画像で文字抽出と画像理解を別々に試し、OCR、Vision LLM、併用のどれが目的に合うか決める。
まとめ
- 画像内の文字をそのまま検索・保存できる文字列へ変えたいなら、まずOCRを検討する
- 画像全体の意味や関係を理解し、質問へ答えてほしいならVision LLMが候補になる
- 文字の正確さと画像理解の両方が必要なら、OCRとVision LLMの併用を検討する
- 日本語、縦書き、表、手書きの性能はモデル名だけで決めず、代表画像で確認する