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AI PoCはいくらかかる?人月よりデータ準備・評価・連携で分解

目次
AI PoCの費用は、公開例だけでも月額15万円の小規模支援から、300万円からの開発型PoCまで幅がある。ただし、この両者を平均して「相場は150万円前後」とするのは誤りだ。課金単位も、含まれる作業も違う。
予算を作るときは、データ準備、試作、評価、既存システム連携、進行管理、外部サービス実費へ分ける。画面数やエンジニアの人月だけで比べると、AI特有の評価とデータ作業が後から追加されやすい。
公開価格は範囲を付けて読む
2026年9月13日に確認した公開例は次の通りだ。
| 公開サービス例 | 表示価格 | 公開されている主な範囲 | 同じ表へ平均できない理由 |
|---|---|---|---|
| 株式会社SOARIG「AI推進室」スタンダード | 15万円/月 | 月20ポイント、小規模PoCを含む伴走支援 | 月額・ポイント制で、完成したPoC一式の固定価格ではない |
| AI革命株式会社「AI・システム受託開発」PoC | 300万円から(税別) | 課題と検証内容、簡易要件、設計・開発、検証環境、結果整理、本開発提案 | 開発型の開始価格で、クラウドや外部API等は別途になり得る |
| 特許庁のAI PoCモデル契約 | 金額例なし | 固定額または人月・工数による算定方法、支払、データ関連費用 | 契約ひな形の空欄は実際の市場価格ではない |
公開価格は「安い会社」「高い会社」を決める資料ではない。月額支援で何ポイント使えるか、固定価格にどの成果物が含まれるか、外部実費が別かを確認するための例だ。
AI革命の公開価格にはPoCの設計・開発と結果整理が含まれる一方、本番開発は個別見積もりとされる。SOARIGの月額プランは、ヒアリング、PoC、プロンプト作成などをポイントで依頼する仕組みである。どちらが得かは、必要な成果物を決めるまで比較できない。
PoC費用を6つに分ける
見積依頼の前に、次の表へ数量と単価を入れる。金額が分からない行は0円にせず、見積回答待ちとする。
| 費目 | 数量の例 | 単価・実費 | 小計 | 成果物・完了条件 |
|---|---|---|---|---|
| 1. 課題と検証範囲 | ヒアリング回数、対象業務数 | 検証仮説、対象外、成功・中止条件 | ||
| 2. データ準備 | 文書数、ページ数、正解データ件数 | 利用可能なデータ、加工結果、版 | ||
| 3. 試作 | 画面、API、処理フロー、モデル候補 | 動く試作、ソース、設定、設計メモ | ||
| 4. 評価 | テスト件数、反復回数、人の確認件数 | 指標、閾値、全結果、失敗例 | ||
| 5. 既存システム連携 | 認証、DB、API、ログの接続数 | 接続範囲、権限、エラー処理 | ||
| 6. 進行管理と実費 | 会議、レビュー、クラウド、外部API | 議事、課題、利用量、請求根拠 |
PoC予算 = 1〜6の小計 + 予備費 とする。予備費は不明な費目を隠すためではなく、合意した変更へ使う。見積回答待ちの行を予備費へまとめない。
データ準備は「提供するだけ」では終わらない
特許庁のAI PoCモデル契約は、検証前の作業として、生データの取得方法を試すことや、正解データを作ることがあり、役割と費用を契約で明確にする必要があると説明している。データの種類や量によってサーバー費用が増える場合も挙げる。
発注側が「社内文書はある」と考えていても、そのまま評価や検索へ使えるとは限らない。重複、古い版、個人情報、画像PDF、表、アクセス権限を確認し、PoCへ入れる範囲を決める作業が発生する。
見積では、誰が次を行うかを分ける。
- データの抽出と利用許可の確認
- 個人情報や機密情報の除去
- 文字抽出、分割、形式変換
- 正解または許容回答の作成
- テスト用と調整用データの分離
- PoC終了時の返却・削除
自社でできる作業は外注費を減らせるが、社内工数が0になるわけではない。担当者の時間も予算表の数量へ入れる。
評価費用は試作回数と別に置く
生成AIの試作は、一度動いた後にプロンプト、検索方法、モデル、データを変えて評価を繰り返す。AWSの評価パイプライン例は、少数例の手動確認と、正解データを使うオフライン評価を分け、出力、応答時間、費用を記録する。
評価費用を決める主な数量は、テスト件数、モデル候補数、設定候補数、反復回数、人の確認件数だ。たとえば100件のテストを3モデル、2設定で試せば、少なくとも600件の出力が生じる。これは算術上の実行件数であり、必要な回数の推奨値ではない。
全出力を人が読むのか、一部だけ読むのか。自動採点を使うなら、その採点が人の判断と合うかを誰が確認するのか。ここが未定だと、試作費は決まっても合否判定の費用が決まらない。
既存システム連携をPoCへどこまで入れるか
PoCで技術的な可能性だけを見るなら、既存の認証、業務DB、監査ログを接続しない方法もある。短期間で仮説を確かめやすい反面、本番移行時の難所は残る。
AWSのPath-to-Valueは、PoCから本番へ進む際に、データアクセス、既存システム連携、セキュリティ、監視、拡張性、回復性が過小評価されやすいと整理している。PoCへ全部入れる必要はないが、入れない項目は「本番化で追加になる作業」として別表に残す。
連携を一つ入れるなら、接続先、認証、権限、テスト環境、異常時の動作、ログ、担当部署までが費用に関わる。APIを1本つなぐ、という数え方だけでは範囲がそろわない。
PoCの削りすぎと作りすぎを避ける
安く抑えすぎると、数件のきれいなサンプルだけでデモを作り、実データで判断できないPoCになる。反対に、本番用の認証、監視、冗長化、全データ移行まで最初から作れば、まだ捨てる可能性のある仮説へ投資しすぎる。
PoCへ入れるのは、次の投資判断に必要な最小範囲だ。技術的に動くか、業務上役立つか、安全に扱えるか、費用が許容できるか。そのうち今回決める問いを明示し、答えに不要な本番機能は外す。
費用表の空欄を埋め、成果物と完了条件がそろった段階で、複数社へ同じ条件を渡す。公開価格から相場を決めるのではなく、同じ数量、同じ成果物、同じ評価条件で戻ってきた見積を比較する。それがこのPoCに必要な予算になる。
まとめ
- AI PoCの公開価格は含む作業と課金単位が違うため、一つの市場相場へ平均しない
- 予算はデータ準備、試作、評価、連携、進行管理、外部実費へ分ける
- 画面数や開発人月だけでは、正解データ作成と反復評価の費用を見落とす
- 空欄のままの費目を質問へ戻し、PoC後の本番化を自動的に含めない
参照した情報源を見る(7件)
参照情報源
- 技術検証(PoC)契約書(AI)特許庁情報源を開く ↗
- AI・システム受託開発AI革命株式会社情報源を開く ↗
- AI推進室株式会社SOARIG情報源を開く ↗
- Navigating the generative AI journey: The Path-to-Value framework from AWSAmazon Web Services情報源を開く ↗
- Build an automated generative AI solution evaluation pipeline with Amazon NovaAmazon Web Services情報源を開く ↗
- Future Ready Workflow DesignPwC Japanグループ情報源を開く ↗
- 行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン 第2.0版デジタル庁情報源を開く ↗