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GPT-6 Astraはどれだけ進化した?GPT-5.6 Solと性能・使用量・料金を比較

GPT-6 Astraはどれだけ進化した? — GPT-5.6 Solと性能・使用量・料金を比較
目次

OpenAIは2026年9月3日、GPT-6世代の新モデルGPT-6 Astraを発表した。

世代番号はGPT-5からGPT-6へ変わった。ただ、公開された評価結果は「何をさせてもSolより圧倒的」という形ではない。

GPQA DiamondはGPT-5.6 Solの94.6%から96.0%。Artificial Analysis Intelligence Indexは60.9から61.2で、一般的な知識・推論の総合評価では差が小さい。

その一方、AutomationBenchは18.1%から41.4%、Terminal-Bench 4.0は37.3%から57.9%、SRE-Benchは55.9%から88.0%まで伸びた。

性能差が大きいのは、単発の質問への回答より、コードを書き、PCを操作し、複数のツールを使いながら長い仕事を終わらせる領域だ。

Astraにはその分だけコストもかかる。API基本単価はSolの2.5倍。ChatGPT Work/Codexで公開されているStandard seat(標準枠)のローカルメッセージ数の目安も、AstraはSolよりかなり少ない。

GPT-6 Astraで何が変わったのか。OpenAI公式データとARC Prize、Artificial Analysisの独立評価をもとに整理する。

GPT-6 Astraの基本仕様

API版GPT-6 Astraは、105万トークンのコンテキストウィンドウと12.8万トークンの最大出力に対応する。

この2つはGPT-5.6 Solと同じだ。知識の基準日はSolの2026年2月16日から、Astraでは2026年4月30日に更新された。

Web検索、ファイル検索、PC・ブラウザ操作(Computer Use)、シェル実行環境(Hosted Shell)、MCPなども利用できる。推論の強さ(reasoning effort)はlow、medium、high、xhigh、maxに対応する。SolにあるnoneはAstraでは利用できない。

項目 GPT-5.6 Sol GPT-6 Astra
コンテキスト 1,050,000トークン 1,050,000トークン
最大出力 128,000トークン 128,000トークン
知識の基準日 2026年2月16日 2026年4月30日
API入力 / 100万トークン $4 $10
キャッシュ済み入力 / 100万トークン $0.40 $1
API出力 / 100万トークン $20 $50

コンテキスト長と最大出力だけでは、大きな世代差は見えない。Astraでは同じ105万トークンを使った長時間処理や、複数ツールを組み合わせたタスクの性能が大きく改善されている。

ベンチマークではAIエージェント系の伸びが大きい

OpenAIが公開したSolとの比較では、評価項目によって性能差にかなりばらつきがある。

ベンチマーク GPT-5.6 Sol GPT-6 Astra
AutomationBench 18.1% 41.4% +23.3pt
Terminal-Bench 4.0 37.3% 57.9% +20.6pt
Database Migration Tasks 42.7% 63.9% +21.2pt
OSWorld 2.0 65.7% 72.6% +6.9pt
SRE-Bench 55.9% 88.0% +32.1pt
Terminal-Bench Science 0.1 22.4% 64.6% +42.2pt
FrontierMath Tier 4 v2 83.0% 97.6% +14.6pt
GPQA Diamond 94.6% 96.0% +1.4pt
Artificial Analysis Intelligence Index v4.1.1 60.9 61.2 +0.3
GPT-5.6 SolとGPT-6 Astraの主要ベンチマーク比較。AutomationBenchやTerminal-Bench、SRE-Benchでは差が大きく、GPQAとArtificial Analysis Intelligence Indexでは差が小さい

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図1: 数値はOpenAIが公開した比較表。Artificial Analysis Intelligence Indexは同社独立評価のv4.1.1をOpenAI掲載値で比較している。

GPQA Diamondは94.6%から96.0%で、差は1.4ポイントにとどまる。Artificial Analysis Intelligence Indexも60.9から61.2でほぼ横ばいだ。Artificial Analysis自身も整数表示ではAstra maxとSol maxをどちらも61としている。

一方、AutomationBenchは18.1%から41.4%。Terminal-Bench Science 0.1は22.4%から64.6%、SRE-Benchは55.9%から88.0%まで伸びた。

GPT-6 Astraを「Solより何%賢いモデル」と一つの数字で表すのは難しい。改善幅が大きいのは、知識を回答として出す能力より、複数の手順を続けて処理する能力だ。

コーディング性能は作業内容によって差が変わる

OpenAIはAstraを、同社がこれまで提供した中で最も高性能なソフトウェア開発モデルとしている。

純粋なコーディング評価では差が小さいものもある。DeepSWE v1.1はSolの72.7%に対してAstraが74.1%。Artificial Analysis Coding Agent Indexは65.1から67.0だった。

一方、Terminal-Bench 4.0では37.3%から57.9%、OpenAI内部のDatabase Migration Tasksでは42.7%から63.9%まで伸びている。

差が広がっているのは、単純なコード生成よりも、既存コードを確認し、関連ファイルを探し、変更し、実行し、エラーを確認して修正し、再テストするような作業だ。

Web開発でも同じ傾向が期待できる。コードを一度書いて終わる処理より、ブラウザ確認やフロントエンドの動作確認(Frontend QA)まで続くタスクの方がAstraの改善点と重なる。

Qwen3.8とGPT-5.6・Claudeを比較した記事でも、単一の総合スコアだけでモデル全体の優劣を決められない点を扱っている。Astraでも同じで、AIエージェント評価と一般知能評価を分けて見る必要がある。

PC・ブラウザ操作(Computer Use)は成功率と処理時間の両方が改善

PC・ブラウザ操作を評価するOSWorld 2.0では、GPT-5.6 Solが65.7%、GPT-6 Astraが72.6%だった。

OpenAIが行った遅延シミュレーションでは、1タスクあたりの所要時間も短縮している。

モデル OSWorld 2.0 シミュレーション上の所要時間
GPT-5.6 Sol 65.7% 約75分
GPT-6 Astra 72.6% 約40分

約47%の短縮となる。

OSWorld 2.0でGPT-5.6 Solが65.7%・約75分、GPT-6 Astraが72.6%・約40分となったOpenAIのlatency simulation比較

図を拡大して見る

図2: OpenAIによるOSWorld 2.0の遅延シミュレーション。一般的なPC作業が常に47%短縮されることを示す数字ではない。

この時間は実際のPC操作全般を測ったものではなく、OSWorld上での遅延シミュレーションだ。

Astraと同時にCodex側の実行環境(harness)も更新された。Mind2Webでは、新しいCodex実行環境とAstraを組み合わせた環境が、従来のSol環境より1.9倍速くタスクを完了したとOpenAIは報告している。

この1.9倍にはAstra単体だけでなく、更新されたCodex実行環境の効果も含まれる。

同じ105万トークンでも長文脈性能には差がある

AstraとSolのコンテキストウィンドウはどちらも105万トークンで、最大値自体は変わっていない。

MRCR v2による長文脈評価では差が出ている。

入力範囲 GPT-5.6 Sol GPT-6 Astra
256K〜512K 91.5% 100.0%
512K〜1M 73.8% 96.3%

50万〜100万トークンの範囲では、73.8%から96.3%へ22.5ポイント向上した。

GPT-5.6 SolとGPT-6 Astraは同じ105万token contextだが、MRCR v2の512Kから1MではSol 73.8%、Astra 96.3%となった比較図

図を拡大して見る

図3: 最大コンテキスト長は同じでも、50万〜100万トークンの領域で必要な情報を扱う性能には差がある。

大規模なコードベースや大量の文書を扱う用途では、最大トークン数よりも、長い入力から必要な情報を保持・参照できる性能の方が実用上の差につながりやすい。

Codexでは長時間タスク向けのコンテキスト管理も強化

長時間のAIエージェント作業では、コンテキストを使い切ると、それまでの情報を圧縮して次へ引き継ぐ履歴圧縮(compaction)が使われる。

要約を繰り返す過程では、過去に失敗した修正内容、実行済みのテスト、初期要件の細かな条件、ツール出力などが失われる場合がある。

Astraと新しいCodex環境では、コンテキストをまたいでノートを保持する仕組みが導入された。過去のコンテキストを検索し、以前のメッセージやツール出力から必要な情報を取得する機能も追加されている。

発表時点では検索機能は実験的な扱いで、OpenAIは今後Astraの標準機能として展開する予定としている。

長時間の開発作業では、最大コンテキスト長そのものより、この仕組みの影響が大きくなる可能性がある。

作業途中の追加指示と非同期ツールにも対応

GPT-6 Astraでは、作業途中の追加指示(mid-turn steering)も改善されている。

AIエージェントが作業している途中で追加の指示が送られた場合、新しい要求を取り込みながら元のタスクを継続できる。OpenAIは、以前のモデルが途中の追加指示を新しいゴールとして扱い、元の要求や制約を落とす場合があったと説明している。

APIでは作業途中の追加指示に加えて、非同期ツール呼び出し(Async tool calling)にも対応する。

非同期ツール呼び出しでは、外部ツールの処理完了を待っている間に、別の推論や独立した処理を進められる。複数ツールを使うAIエージェントでは、順番待ちを減らせる機能になる。

API料金はGPT-5.6 Solの2.5倍

GPT-6 AstraのAPI基本料金はSolより高い。

100万トークン GPT-5.6 Sol GPT-6 Astra
入力 $4 $10
キャッシュ済み入力 $0.40 $1
出力 $20 $50

入力、キャッシュ済み入力、出力はいずれも2.5倍だ。

272Kトークンを超える入力では、そのリクエスト全体について入力とキャッシュ料金が2倍、出力料金が1.5倍になる。Astraの高速モード(Fast mode)は、APIでは通常モード(Standard)の2倍の料金となる。

105万トークンを入れられるからといって、巨大なコードベースや文書を毎回そのまま送る使い方が経済的とは限らない。検索、キャッシュ、必要な情報だけを選択する処理の重要性は高くなる。

トークン単価が2.5倍でも、タスク単位では逆転する場合がある

API単価だけでは実際のタスク総額は決まらない。

OpenAIのTerminal-Bench 4.0評価では、AstraはSolより高い57.9%を記録しながら、評価に使用された構成での1タスクあたりの推定APIコストはSolより約9%低かった。

OpenAIはAstraについて、複数の評価で以前のモデルより少ない出力トークンを使って高い結果を出し、タスク単位の推定費用が下がった例を示している。

独立評価では別の傾向も確認できる。Artificial Analysis Intelligence Indexでは、Astra maxはSol maxと同じ61だが、1タスクあたりの推定コストはAstraが約1.67ドル、Solが約0.95ドルだった。同社はAstraがSolより約10%少ない出力トークンで同程度の総合指数を出す一方、2.5倍の単価上昇を吸収できていないとしている。

一方、同じArtificial Analysisのコーディング向け評価「Coding Agent Index」では、Astra maxはSol maxより約3倍少ないトークンを使い、スコアを2ポイント上げながらタスク単価はほぼ同程度だった。

コスト効率はタスクの種類によって変わる。単純な回答ではSolの方が安く、やり直しや長いAIエージェント処理が発生しやすい仕事ではAstraの高い単価を効率改善で取り戻せる場合がある。

ChatGPT Plusでの利用量

ChatGPTでは、通常のチャットとWork/CodexでAstraの扱いが異なる。

OpenAIはAstraをPlus、Pro、Business、Enterpriseへ段階的に展開するとしている。ただし通常のチャットで使うGPT-6 Proは、2026年9月4日時点ではPro $100、Pro $200、Business、Enterprise向けで、ChatGPT Plusには含まれない。

Work/Codexでは、Astraが利用可能になったStandard seat(標準枠)に限定的な利用枠が含まれる。

公開されているStandard seatのローカルメッセージ数の目安は、以下のようになっている。

モデル 5時間あたりの目安
GPT-6 Astra 5〜45
GPT-5.6 Sol 10〜100
GPT-5.6 Terra 25〜200
GPT-5.6 Luna 250〜2,000

実際の使用量はモデルやタスクの規模、推論の強さ(reasoning effort)、処理量によって変動するため、これらは固定されたメッセージ上限ではない。

Standard seatで公開されている5時間あたりローカルメッセージ目安。Astra 5から45、Sol 10から100、Terra 25から200、Luna 250から2000

図を拡大して見る

図4: OpenAIが公開するStandard seatのローカルメッセージ数の目安。固定回数ではなく、モデル・タスク規模・推論の強さ・処理量などで消費量は変わる。

Astraの目安はSolの半分前後となっている。Standard seatでAstraを常用した場合、Solより利用枠を速く消費する可能性が高い。

ARC-AGI-3の99.9%は評価条件も確認する

Astraの発表ではARC-AGI-3の99.9%という数字も掲載されている。

ARC Prizeによる検証では、Astraの結果は評価用の実行環境(harness)によって大きく異なる。

評価条件 Astra最高値
標準実行環境(Standard harness) 62.7%
提供元向け実行環境(Provider Adapter harness) 99.9%

Provider Adapter harnessでは、OpenAI側が設計したコンテキスト管理を使い、内部の推論状態を保持したり、長くなった履歴を圧縮したりできる。Standard harnessは、各社のモデルをできるだけ共通の条件で比較するための構成だ。

99.9%という値自体はARC Prizeによって検証されているが、「Astra単体を共通条件へ置いたら99.9%だった」という意味ではない。

この差は、2026年のAIエージェント性能がモデル本体だけで決まらず、実行環境やコンテキスト管理まで含むシステム全体の設計に大きく左右されることも示している。

サイバーセキュリティ能力は「Critical(重大)」水準に到達

Astraではサイバーセキュリティ能力も大きく向上した。

OpenAIのPreparedness Framework(準備態勢フレームワーク)では、Astraはサイバーセキュリティ分野で「Critical(重大)」のしきい値に到達した初の広範展開モデルとされている。

公開評価ではExploitBenchがSolの78.5%からAstraの100%、SRE-Benchが55.9%から88.0%へ上昇した。

能力向上に合わせて安全対策も強化されている。OpenAIは高度なサイバー作業について、正当な用途でも追加の確認やレビューが入る場合があるとしている。

またOpenAIの内部評価では、許可された対象範囲を越えるかを測るテストで、本番向けの安全対策なしのSolが48%だったのに対しAstraは0%だった。

性能だけでなく、AIエージェントが「やり過ぎない」ための境界管理も今回の更新項目になっている。

Luna、Terra、Sol、Astraの使い分け

Astraの登場後も、すべてのタスクを最上位モデルへ置き換える必要はない。

OpenAIはTerraを性能とコストのバランス型、Lunaをコスト重視の大量処理向け、Solを複雑な専門作業向け、Astraを最も難しい「最初から最後までの一連の仕事」向けとしている。

実用上は以下のように分けやすい。

モデル 主な用途
GPT-5.6 Luna 分類、抽出、大量処理、軽い自動化
GPT-5.6 Terra 日常的な実装、記事処理、一般的なAIエージェント作業
GPT-5.6 Sol 高難度の実装、調査、レビュー
GPT-6 Astra 大規模改修、長時間のAIエージェント作業、PC・ブラウザ操作を含む一連の仕事

この表はOpenAIの用途説明と料金・利用量をもとにした実用上の目安で、公式の固定ルールではない。

数行のコード修正や単純な情報整理ではAstraを必要としない場合が多い。大規模なリポジトリを調査し、新機能を実装し、テストし、ブラウザで確認し、不具合を修正するような長い仕事ではAstraの改善点が反映されやすい。

GPT-6で広がったのは「AIに任せられる仕事」の範囲

GPT-6 Astraでは、一般的な知識・推論ベンチマークより、AIエージェントや実作業に近い評価の伸びが大きい。

GPQA Diamondは94.6%から96.0%。Artificial Analysis Intelligence Indexは60.9から61.2。

一方でAutomationBenchは18.1%から41.4%、SRE-Benchは55.9%から88.0%、MRCR v2の512K〜1M領域は73.8%から96.3%まで伸びた。

PC・ブラウザ操作、長文脈、途中指示、非同期ツール、長時間のコンテキスト管理も強化されている。

GPT-5.6 SolからGPT-6 Astraへの変化は、質問回答能力の全面的な大幅向上というより、複数工程を含む仕事を継続して処理する能力の強化として表れている。

AstraはSolよりAPI単価が高く、Standard seat(標準枠)での利用量も重い。そのため、すべての処理をAstraへ置き換えるより、難易度や失敗コストに応じてSol、Terra、Lunaと使い分ける方が現実的だ。

「機械知能」の将来を考えた記事では、AI能力そのものが将来どこまで手元へ降りてくるかを扱った。今回のAstraはクラウド側の進化だが、変化の中心が「回答」から「実際の仕事」へ移っている点は、ローカルAIの将来を考える上でも重要になる。

GPT-6 Astraによって広がったのは、「AIに聞けること」よりもAIに任せられる仕事の範囲と見る方が、公開された評価結果には合っている。

※利用枠は2026年9月8日に再確認。その他の情報は2026年9月4日時点です。GPT-6 Astraは段階的に展開されており、モデル提供範囲、料金、利用枠、機能は今後変更される可能性があります。

まとめ

  • AutomationBenchはSolの18.1%からAstraの41.4%、Terminal-Bench 4.0は37.3%から57.9%となり、AIエージェント・実作業系で大きく伸びた
  • GPQA Diamondは94.6%から96.0%、Artificial Analysis Intelligence Indexは60.9から61.2で、一般的な知識・推論の総合性能は大幅な世代差ではない
  • OSWorld 2.0では72.6%を記録し、OpenAIの遅延シミュレーションでは約75分から約40分へ短縮した
  • AstraとSolはどちらも105万トークンのコンテキストだが、MRCR v2の512K〜1Mでは73.8%から96.3%へ改善した
  • API基本単価はSolの2.5倍。Standard seat(標準枠)のローカルメッセージ数の目安もAstra 5〜45、Sol 10〜100で、AstraはSolより利用量の余裕が小さい
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